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哲学は、「本当のところそれってどうなの?」なのか?

ここ最近は大学や高校の友人たち(少ないながらそういう人々が私にもいるということは常々思うが驚くべきことだ)に会うことがあった。

風の噂なのかなんなのか、私が哲学に首を突っ込んでだいぶおかしなことになっていることを彼らは知っているらしい。みんなが集まれば各々が最近やっていることや仕事の話を報告しあって、思い思いに気になることを尋ねてみる、という場面が必ずあるみたいである。上司のこととか家庭のこととか。そういうわけで私の順番が、何となく回ってきたので仕事か家族の話でもすればいいのかなと思い、子どものことでも話そうと思いを巡らしていたら、「そう言えば哲学とかやってたよな。大学に行ったり塾に行ったりしてんだろ?で、結局、哲学って何すんの?」ときた。ほう、これは面白いと思って、

「簡単な話が、真理を求めるってことだね。その一言に尽きると言ってもいい。」

と言った。

「何、真理って?」

という質問が返ってきた。みんな、どういうわけなのか、興味ありげにきいている。まさか興味なんかなかろうと思っていたのだが、どうもそうでもないらしい。

 「哲学って何?」という問いは、しばしば受けてきた問いではあった。私は、以前には、

「哲学って何?ってところから考えるのが哲学だね」

と答えるのを常としていた。人々が目を白黒させる反応や時間が一瞬止まったかのような情景をみて、ひとりで面白がる悪趣味な性格の持ち主は私だけではあるまい。ともかく、人に伝えるという点から見れば、全く何も伝わっていないことは、流石の私にも見落とされはしないほどのものでもあった。 

 ともかく、

「哲学って何?」
「それこそ哲学だよ。哲学って何って考えることがね」

というのでは、どうも人々には、言わんとすることが伝わらない。全くの外国語を聞いた時の反応みたいなのだ。「それこそ哲学だよ…」というのを聞いて、普通の人は、何を言っているのか全く見当も付かず、何の言葉を発してよいか分からず、言葉のやり取りが続かない。こんな経験からの反省を生かして(?)、今回は、

「真理を求めること」

と言ってみた。そうすると反応がだいぶ違う。というのも、「何、真理って?」と問いが返ってきたわけだから。素直に、「面白い」と私は思った。そして、すこしだけ簡単な言葉に言い換えてみた。

 「真理って別に難しいものではなくて、本当のところそれってどうなの?って考え続けて行くことと同じかな。例えば宇宙物理学によってエネルギーの生起によって宇宙が誕生したということが分かったとしよう。それは、宇宙は物質ではなくてエネルギーで出来ているっていうことが分かったわけで、科学的真理が解明されたわけ。それで、哲学者ってのは余計なもので、それって本当なの?それが真理なの?と問い続ける。哲学は、科学的真理が解明されてもなお、納得できないので、真理を求める。本当のところそれってどうなの?と突き進む。本当にそれで宇宙が誕生したことになるの?と問い詰めていく、みたいな感じかな。」

後の反応を見てもらえれば、私が首尾よく哲学とはなんたるかを示しえたかどうかを、判断できる人は少なくはなかろう。

「おお、なんか訳分からないけど哲学っぽいわ」
「そうだろ?笑 だって宇宙の誕生なんて訳分かんないじゃん、数式とかで説明されたって」
「まあな。笑」
「子どものなぜなぜ病みたいなもんだね、哲学は。気になって納得できないんで、「なんで」ってばかり言うじゃん?子どもが何を答えて欲しいか、大人はよく分からない。それなんで、何を言ってあげればいいのか分かんないだろ?」
「たしかに」
「それでも何か答えようとすれば哲学になるって感じかな」
「ほう。だんだんよく分かんなくなってきたけど」
「まあ、そんなに簡単にわかるもんじゃないね。」
「そういうところだよな。哲学が訳分かんないのって」
「よく分かってるじゃん笑」

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thethirdman

Y先生には「君には言いたいことが何かあるのは分かるけれど、それが何であるのか分からない」と言われ、H先生には「何かの本質をつかんでいるとは思うけど、それが何かってことだよね」と言われたと話すと「それはそのままthe third manさんのキャッチフレーズになりますね」と。

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